あなたの 「らしさ」 を大切に。

キャリアカウンセラー河野志織のブログ

街の時計職人のこだわり仕事

私は職人にとても憧れます。

どうしてなのか?

自分でもよくわからない。

でも職人に対しての尊敬の念は

子供のころから非常に強かったと思います。

育った環境はサラリーマン家庭で、

私の周りにも職人はいないのですけれどもね・・・・

 

そういえば、父が亡くなってからもうすぐ1年になります。

父の遺品の整理をしていた時に

母が結納で父にプレゼントしたオメガの時計が

出てきました。

すっかりさびてしまっていて、

時間を刻むこともできなくなっていた・・・。

でも父と母の思い出の大切な時計。

そのままにはしておけなくて、

私が大切に受け継がせてもらうことにしました。

 

その時計。

最初にオメガ本店の修理工房に行って、

『思い出の品なので』といって修理をお願いしましたが

10万かけても直らないと言われました。

『そんなに価値のあるものでもないので、

 新しく買っては?』と提案されましたが、

この時計はそういったものではありません。

新しい時計と引き換えにするようなものでないのです。

意気消沈して、別の時計の修理屋に問い合わせたものの、

『オメガの本店で直せないものは、うちでも直せない。』と

のべもない。

数十件問い合わせましたが、どこもかしこも直せないという返答。

 

諦めかけていた時。

別の時計の電池交換で入った町の商店街の時計屋さん。

ダメもとで、『このオメガの時計の修理はできますか?』と

お願いしたところ、

『約束はできないけれど、見てみるよ』という回答。

 

私がなぜ、この時計にこだわるのか?

もしかしたらそんなに価値のあるものではないかもしれないけれど、

家族の思い出が詰まったものであること。

それを説明したら、

時計屋のおじさんは、

『そうですよね。とても大切な時計なんですね。

 頑張って直してみますね』と

それはそれは暖かい言葉をくれたのです。

その言葉だけで、私は最悪、この時計が直らなくても

救われたと思いました。

 

そして待つこと2週間。

その時計屋のおじさんから、

『直りましたよ』の連絡をもらった時は

どんなに嬉しかったか!

しかも10万円などではなく、その半分以下の値段で

直してくれたのです。

 その時計がこれです。

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男性物の時計でもともとはステンレスの

バンドだったのですが、

これを女性らしく赤の革のバンドに変えてみました。

この赤の革のバンドは、

その時計屋の娘さんが一緒になって選んでくれたものです。

 

その後、祖母が亡くなって、

また祖母の時計が出てきました。

今度はとても小ぶりの品のいい時計です。

こちらもオーバーフォールして、

このように素敵な時計になりました。

 

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もちろん、その時の時計屋さんにお願いしたのは

言うまでもありません。

 

私が好きな職人には、

こうして人の気持ちまで慮って、

こだわった仕事をしてくれる人。

自分が苦労して物を作りだしているからこそ、

人の物も大切にし、

その物を大切にする人の気持ちまでも

大切にしてくれるのかもしれません。

 

そういった心の通った仕事をしてくれる職人。

そんな職人に私は何故か、

やっぱり心を惹かれます。

 

なんでもオートメーション化され、

大量生産される昨今。

こんな暖かい心の通った

細かい手仕事をしてくれる職人を

私はこれからも大切にしていきたいと

そう思います。